離婚協議 年金分割制度
平成19年4月より婚姻期間中の厚生年金が分割可能になりました。
国民年金ではありません。
平成19年3月末までは、離婚した場合、それまで夫を支えてきた妻は、自身が加入していた国民年金や厚生年金しか
受け取ることができませんでした。
夫が厚生年金加入者で、妻が専業主婦の場合、この妻のことを「3号被保険者」と言います。
(例えば夫が厚生年金毎月15万円支給 妻は国民年金6万円支給)
離婚してしまうとこのように将来貰うことができる年金に大きな差が出てしまい、妻の方が
不公平に感じてしまいます。
それが平成16年度の法改正により、婚姻中の厚生年金を夫婦で分割することができるようになりました。
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年金分割の対象となるのは、公的年金のうち厚生年金と共済年金(平成27年10月から厚生年金に一元化されています)
です。
年金分割の方法には2種類あります。
①合意分割
平成19年4月1日以後に離婚をし、以下の条件に該当したときに、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準評価額)
を当事者で分割することができる制度です。
・婚姻期間中に厚生年金記録があること。
・当事者双方の合意があること。
・請求期限(離婚した翌日から起算して2年以内)
では按分割合はどうなるのか?(按分割合とは分割を受けることによって増額される側の、分割後の持ち分割合)
夫婦の協議で決定します。
按分の割合の最大値は50%になります。
夫婦の協議で折半(50%)で分割することで合意すれば問題ありませんが、
年金もできるだけ多く貰いたい気持ちがありますので、なかなか話し合いもうまくいかない場合もあります。
そこで按分割合の最小値を調べるために、「年金分割のための情報通知書」の取得が必要になります。
請求方法について
「年金分割のための情報提供請求書」により手続きをします。※ほかにも必要書類はありますので年金事務所に確認してください。
これは請求者又はその配偶者が婚姻期間中に加入していた年金制度の事務を所掌するいづれかの実施機関でも行うことができます。
請求すると、「年金分割のための情報通知書」が情報提供の請求を受け付けた機関から送付されます。
情報通知書には年金分割の下限が記載されています。
例えば40%を超え50%以下と記載されていましたら、その範囲で夫婦で話し合います。
話し合いが済みましたら、次は合意分割の手続きをします。
※もし話し合いが決着せず裁判所に判断をゆだねることになりましたらほぼ50%で按分されますので、ここであまり労力を使うことはおススメしません。
離婚届を提出後に年金事務所で申請をします。
基本的には元夫婦が揃って年金事務所に行く必要がありますが、離婚した後でお互いの日程を調整して年金事務所に出向くのが難しい場合も当然にあるかと思います。そのような場合には離婚した後に分割請求する側だけで年金事務所における分割請求手続きをとることをおススメします。
どのような手続きをするかと言いますと、離婚前に年金分割の合意に関する手続きを済ませておきます。この年金分割の合意に関する手続きは、公証役場で年金分割の合意書を作成して認証をうけます(私署証書の認証)。
この際には「年金分割のための情報通知書」を提示する必要があります。
離婚公正証書を作成するときに。同時に年金分割の合意書を作れば手間は省けます。
②3号分割
平成20年5月以降に離婚し、平成20年4月以降、第3号被保険者(専業主婦、扶養内パート)であった期間は、一方からの請求のみで厚生年金の保険料納付記録を折半できるようになりました。
平成20年3月までの分は、夫婦間の合意が必要ですが、第3号被保険者に対しては、、平成20年4月以降の分は、自動的に分割されるということです。
請求期限(離婚した翌日から起算して2年以内)
合意分割の場合は夫婦で按分の話し合いが必要ですが、3号分割では一律50%と決まっており、話し合いは不要です。
また離婚後は一人で手続きができます。
手続きの流れ
年金分割のための情報提供請求書を提出し、情報通知書を受け取る。
必要書類を年金事務所に提出し、3号分割請求(標準報酬改定請求)を行う。
標準報酬改定通知書を受け取る。
以上です